射:弓の力
射:弓の力
「今の人骨法を知らず」と云われた本多利実師の著書「射法正規」には、”昔から六分五厘(26kg前後※)が”普通の強さ弓”と定まっています。六分(20kg程度※)を弱い弓、強い弓を七分(30数㎏※)、八分”としている事を伝えています。(※:推定です、弓力の正しい測定は別途記載予定)
また、「弓箭が有用であった時代と、無用の現代とで扱う弓の弓力に差を考える必要は無い」と学べます。むしろ古の有り様に随って修練すべきと記述されています。随って「骨法の理」の表れである射法八節の正しい技は25kg程度の弓が常用される事で示されると学べます。「射法訓」を理念に射法の正しい技を示されるなら当然の事と云えます。
此のHPは、先哲が「射法八節の理論の礎となる骨法の道理」の良く勉強して、六分数厘(25㎏前後)の弓力の弓をもって矢束一杯から「中る射」の修練をする事が「正しい射技」であることを自覚すると考え、書き綴ってきました。
この弓力は今から400年ほど前の「射学正宗」の骨法の理論に出てくる弓力20kg〜30㎏程度と良く符合し、教本の記述とも符合する事です。同時代の竹林派弓術書には”常に、剛きことを求めて、稽古する事”を先哲は示唆ています。
少し前の時代、世阿弥も稽古の要点として”つよき事”を上げています。”かたかたちわざ”を学ぶものの心構えといけとれます。なぜならば、姿かたちの中身を理解せずにその表面だけ真似ては、本当の猿真似になってしまうと思います。弱い弓を筋力で引いて射法八節の姿・形だけ真似ても射の真実:「骨法」はわからない、と云うのが本多利実師が云うところと理解できます。
骨法
尾州竹林派弓術書 本書第一巻 (財団法人生弓会蔵版)
一 骨相筋道の事
「骨法の直なるを直にそだて、曲がれる骨おば其の理に随いて然るべく筋道を正しくよろしき所に至るを云う也心は七道の五部の詰 又は 始中終の骨法射形伸びて縮まざるを骨相筋道と云う也 矢束も爰にて知る事 之あり 口伝…… 」