引分
引分
引分
大三の事
尾州竹林派弓術書の「七道の骨法」の規矩は「射の始中終の骨法射形伸びて縮まざる」ことです。常に弓を押し開いている動作をする事と学べますので、行射中に顕れる「失」の要因は射の始にあると理解できます。
本多利実師と梅路見鸞師の「打起から引分けの始めの示唆」を具体的な技として著された記述は、本多師系譜の教本執筆師:高木師、神永師の記述される一射の連続性が意識されます。又斜面打起射法では、尾張系譜、尾州竹林派富田師の羽丈以上開かない斜面の弓構と打起と大三(打起の頂点)記述から射行の動作の内容には正面と同じと理解できます。また、尾州竹林派弓術書を学べば、紀州竹林派吉見順正師の「射法訓」と同じ文意が理解される事からも、斜面と正面に於いて射の本質においてその同一性を感じさせます。
それ故、射法の扱いは理念によって異なると云われる梅路見鸞師の「武禅」の言葉を理解する事ができます。「弓」を以て「道」に進む信念なら、まず「正しい技」を透して自らに問うべき、と学べます