遠的と秋葉山古墳
遠的と秋葉山古墳
秋葉山古墳から常泉院さんを通して大山を望むと、眼下に広々とした大地に三川合流した相模川を見る事が出来ます。 想えば山梨県の八代ふるさと公園も古墳に立つと遠く北アルプスの山塊を挟むように甲斐駒,千丈から走る南アルプスと八つガ岳山塊の前に、釜無川と笛吹き側をめた富士川が甲府盆地を挟むように流れています。この公園は銚子塚古墳と盃塚古墳の中にあります。古墳時代の方々の国見の心が視える想いです。
秋葉山古墳は海老名市の史跡です。この風景を見るとそこに何か同じ思想がある様に感ぜられます。昔のリーダーは国見し、生活に安全で良い場所を選んだのでしょう。そこにも何か、筋道の通った理論がある様に感じられます。箱根山塊から国府津超えれば相模の大地に繋がります。古墳時代、大和の中央集権が東征しここに国府を置けば北、東、南に広く広がります。ここの統治者が秋葉山に古墳を置いた心の風景がしのばれます。
秋葉山には常泉院さんの運動場があります。海老名市街を望む方向に切り開かれたすり鉢状の円形のグランドです。秋葉山古墳が歴史的史跡として平成17年に国の指定を受けてから10周年を迎え、また古墳から鏃が出土したこともあり、ここで遠的をしたいとの声が持ち上がりました。 海老名市弓道協会会員が安全性等の面から検討を重ね、常泉院さんとこのグランドを利用されている地域の皆さんの協力を得て、平成26年に秋葉山古墳のもとで遠的を行いました。
弓は矢を飛ばし猟をする大切な道具で有る事は銅鐸の絵を見て判ります。大空のもと矢が飛んでいく風景を見ると、ヒトの発明した弓箭に古代の人が驚きと何か神聖な気持を懐かれた状況に共感します。今は室内で弓を射る事がほとんどですが、この秋葉山古墳の素晴らしい環境の中で矢を射て見れば、きっと”射”が何かを呼び起こしてくれると思います。
このような環境は市街でなければ日本全国どこにでもあるのでしょう。 鎌倉市を中心にもののふの国として世界遺産の申請を聞きますが、相模川の流域には多くの弥生時代の遺跡が見られ、この秋葉山を含む武蔵・相模の国のいにしえに、鎌倉の国が立つ根があったと思えます。そのような歴史を実感させる秋葉山古墳のもとで弓射る事の気持を書き綴ってみました。
続きます。