初学箴
初学箴
初学箴
言詮ニ拘ラズ他トノ比ヲ見ズ
巧拙ヲ意トセズ私意ヲ弄セズ
一途ニ己ヲ尽スヲ射ノ本分トス
「射」 射法入門 の冒頭の「初学箴」に本書の主意が述べられています。
「初学箴」に続いて「初学者のための射法八節保説」が述べられております。
「全日本弓道連盟編、「弓道教本」第一巻を骨子として初学の方のために陥りやすい個所を指摘しつつ、より正しく教本の趣旨を理解し、更に日本弓道に対する視野をも広めてほしいという願いをこめて以下略述を試みる。・・・」とあります。
目次に続いて、孟子と王勉の会話が載せられています。
孟子曰ク、「人ノ患ハ好ンデ人ノ師タルニアリ」
王勉曰ク、「学問余リアリ、人己ニ資シ、ヤムヲエズシテコレニ応ズルハ可ナリ。モシ好ンデ人ノ師タレバ、即チ自足シテ復進ムアラズ。
コレ人ノ大患ナリ」ト。
以下「まえがき」に続きます。全文を読まれる事を薦めます。
射法入門は小冊子ですが八節の技はもちろん、文化としての「弓」に目を向け させていただける入門書と思います。「理念」に関しても示唆がありますが、むしろ「射」の見方、考え方、向き合う姿勢に啓示を与えていただけると思います。
射法入門には「八節一貫、一意到底の射をしなさい」と示唆されます。「途中で弓と弦を押し開く意思を変えることなく、其の一射を成し遂げなさいやり切りなさい」と云われていると理解できます。
初学の為と云われていますが、弓を引いている自分の姿勢や弓箭の傾き等に気をとられ、弓・弦を押し開かねければならない本心:為すべき立った一つの作業・動作を捨ててしまうのは初心者に限らないと自戒します。
射形を直すことに意識を集中さ、詮索する射行を糺しなさいと云われていると学べます。的に気をとられてアテル事と当たる事を願い、矢先を的から外したり、弓を振り回して当てる癖などで競射し勝ちを誇る高段者は門外になるでしょう。
弓構え迄に整えた全骨格の体構え、過去身を活かさず捨ててしまい、あれこれ射形を探りながら引く癖が「八節が連続してる力の働きである一射の姿である事」を忘れさせると自戒しています。その癖を反復練習していて当りもあり段も上がれば、知らず知らず、詮索してしている射にも関わらずを射のはじめから終わりまで連続していると錯覚します。弱い弓だから出来ることで、少し強い弓はそれをさせません。少し強い弓を引けるようになって理解できました。
「途中で弓と弦を押し開く意思を変えることなく、其の一射を成し遂げなさいやり切りなさい」と云われていると理解できます。一射を尽くし、行射の中で自覚したことを省みて、射の理にてらし考え、次には「その失」を起こさないように次の一射の前に考え取組み、心を定めて臨む事と理解しました。八節一貫、一意到底の射 と云われる「一意到底」という言葉に集約されていると考えています。「一意」とは何か「射の本分」とは何かそれが課題です。
以上