新用途:フレスコレリーフパネル
新用途:フレスコレリーフパネル
孔版型紙を利用する分野は圧倒的に着物の染色と云いて良いと思います。着物の文化は服装産業規模の2%程度で、かつピーク時の10分の一となり、その着物の中で孔版型紙を用いた伝統の着物は大変少ないのでしょう。一方で、箪笥には8兆円規模の着物が眠るといわれその再利用が時々マスコミに載ります。
孔版型紙を作る素材の渋紙を製造するとこは限られ、ST合成紙を作る企業も無くなる中で、孔版型紙を使用する新たな産業分野としては壁面装飾分野が最も身近に想起されます。着物になる前の染色された10数メータの反物は室内装飾にもなり、タベストリー等も見られます。
孔版型紙と防染糊を用いて反物に絵柄を付けますと、真っ白な反物の上に糊がレリーフ状と成って美しい柄が表れます。このレリーフ素材には実績ある漆や釉薬が既にありますので、壁素材にある漆喰も「紛体からから水に溶き硬化する過程で粘度変化」を起こすので、孔版型紙を用いて絵柄を付ける素材として可能性を追求して、壁面構成パネルとして可能性提案をしています。
パネルのサイズは建築のモジュールに合わせ300mmx600mmとしました。
防染糊に代わる漆喰、消石灰は日本建築には漆喰として、西洋建築にはフレスコ壁面素材としても古くから用いられてその堅牢性、耐久性、美的性能などあらゆる面で壁面材の機能を有し、その実績からも安心な材料と云えます。但し、消石灰の製造時に二酸化炭素を発生する課題があります。
不燃の漆喰にてレリーフ柄を作りますので、基板の不燃のケイ酸カルシウム板を用いました。漆喰の着色にはアルカリ性の顔料や染料を用いました。
この「孔版型紙と漆喰とケイカル板の組合せ(フレスコレリーフパネル)」は「孔版型紙と防染糊と反物の組合せ」と絵付け作業の技はよく似ています。寧ろ、孔版型紙を用いた伝統の着物の染色技術を正しく身に着ける事に因って、容易にフレスコレリーフパネルの製造の技を身に着ける事が可能です。